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大塚家具の「お家騒動」を見て

全くもって想像の範囲内であるが、あえてここで感じたことを書かせて頂く。

父勝久氏のお考えもすごくよく分かる。そして娘久美子氏のお考えもすごくよく分かる。それがファミリービジネスをやっている我々の思いではないだろうか。

環境レベルで言えば、比較されるニトリが業績を伸ばす中、売上の停滞は続いていた。そして、2009年に久美子氏が社長就任後、2012年を境にして、営業利益・経常利益も低下していく。2014年に見かねた勝久氏が再度社長になる訳だ。

大塚家具業績推移

勝久氏サイドから見れば、今更ニトリの後を追っても業績は上がらないし、企業の強みであった接客を売りにすべきだと。過去の成功体験を引きずってという方もいるが、接客は商売の基本だし、未だに高い価値があると僕も思う。ヨドバシカメラやビックカメラで詳しい店員さんから購入するのと、◯◯電機の知識の乏しいアルバイトの接客で購入するのでは、選ばれる商品も異なれば、その後の満足度も変わってしまうのが事実と思う。生産者の製品へのこだわりや、全く使用上関係ないようなメーカーのストーリーに心がときめくのだ。しかしながら、大塚家具に僕は行ったことがない。店員さんに売り込まれる高額イメージがあって、全く入れるようなお店のイメージがなかった。実はそんなに高い商品ばかりではないとも聞くのだが、これは分からない。もしそうなのであれば、「気軽に入れる一流接客店イメージ」を打ち出すのは効果があるのだと思う。

久美子氏サイドから見れば、このお客様へのアプローチ方法を改革をすべきだという思いもよく分かる。自分自身久美子氏に年代が近いこともあるが、「気軽に入れるお店」とするのは悪くない。いきなり店員さんに付かれると「何か売りつけられそう」とか、「買わないと悪い気がしそう」など、あまりいいイメージはないのだ。このイメージの払拭というのはすごく大切なことだと僕も思う。とにかく、今家具を買おうと思ったら、ニトリやIKEAをまず思い浮かべて、大塚家具を思い浮かべる人は僕らの世代ではあまり多くない気がする。また、このアプローチ方法の変化を通じて、創業者という個人の資質に依らない組織を作りたいという意味もあったのではないだろうか。そしてこれは無意識に、接客という「個人の資質に頼る」部分を排除したい思いにつながったのかもしれない。

お二人ともに、すごく会社のことや社員の方への思いがあると僕は思う。勝久氏が「1740数名の社員も子供」とおっしゃっていたのは、本当にそう思っているだろうし、久美子氏も口には出さないけど同様の思いがあるのではないか。会社を守るために、社員を守るためには、家族関係を犠牲にしてでも・・・というのは、古い考えかもしれないけれど、私達ファミリービジネスをやっている家では持っているものだと思う。そして、だからこそ、これだけぶつかり合う。親の思いであった、社員の方も家族なんだというのをきちんと引き継いでいるからこそ、とても会社を大切にする。だから、あのやりとりになる。業績がどうなろうと、潰れてもまあいいか、と思っていたら、親の言う戦略をただ実行すれば良かった。久美子氏の気持ちもものすごく分かる。二人ともとても人間的で僕は好きだ。

事業承継において、難しいのは「何を変えて良くて、何を変えてはいけないのか」の判断である。これは引き継ぐ側、今回の場合で言えば、勝久氏が明確に持っていればいいのだが、当然ながらそのような事は引き継ぎながら考えるしか無い。人間にとって、「当り前」と思う事は言語化されていない場合が多い。つまり「接客」によって業績を伸ばしたり、たくさんの「ありがとう」や「笑顔」を聞いたり見たりして積み重ねてきた体験は、言葉を越えて自分の中やそれを共有してきたメンバーの中にある。「当り前」にやってきていて、「当り前」過ぎる事を人間は聞かれると、答えられない。大塚家具が大切にしていることは何ですか?と例えば聞くと、例えば遠くはないけれど「人」とか答えて「接客」という言葉で答える方は少ないのだと思う。(だからこそ、僕の講演等では、この当り前を探るワークをする。)結果、当然ながら引き継ぐ側、今回であれば久美子氏に伝わることはないし、そこも変えていこうとするのだ。
また、引き継ぐ側でもいろいろな問題や課題がある。今回は当てはまらないかもしれないが、自分の親という大きな存在の前社長がいて、従業員やお取引先でも影響力はものすごく大きい。アイデンティティレベルで、つまりは自分の存在価値をどのように保つのか、人として大きな課題を持ちながら引き継ぐ人が多く、結果として、親のやり方は一切変えましたという方が多い。「変化」「変革」「改革」などという大きなスローガンの中、過去のやり方を大枠で否定する。実はここにもすごく問題が出てくる。過去の成功体験は捨てるというと格好はいいが、「過去の成功」によって現在も支えられている部分が確実にある。その中の現在にも通用する「強み」を見ることが、実はスムーズな移行に必要なポイントとなる。つまり、親から子供に「当り前」と思う、企業が持つ本当に変えてほしくない本質を見極めて伝えること。そしてそれを引き継ぐ側としては、大切に聞くこと。その中で、現代にも使える強みや成功の源を見つけ出し、感謝の気持ちを持つことだと思う。それが、新たな営業手法を見出すことにつながる。

全くの他人事であるのだが、他人事と思えずに、長文を書いてしまった。こういう事があるからこそ、やはり人間のタイプや価値観の違いを認識し、それぞれに合うコミュニケーションを取る事が大切で、だから僕は今講演等をやっているのだ、と改めて感じた。最初に書いた通り、全くもって想像の範囲内である。ご関係者などいらっしゃって気を悪くされたら申し訳ない。大塚家具様の益々の発展を祈り、またお二人の関係がより良くなることを心より願っている。



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