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2015.03.17 事業承継, 経営

事業継承の合理性

自分がタニタに入社し、しばらく経ってからだったが、新規事業部に配属頂いた。

新規事業はとても難しい。手探りで事業を模索しつつ、立ち上げ時はコストばかりかかって、社内の主流ビジネスとは異なる流れなどイレギュラーな処理に社内からも不満の声が上がる。責任感を強めれば強めるほど、早く収益化させるべく、スピードを重視して、最短距離を走りぬけようとする。

ある案件で、結構な金額の受注を決めた。製品が完成する前に注文を頂けた案件だった。結論から言えば、全く納期に間に合わなかった。目上の方だったが、その責任はかなり、その方にあった。僕もチームも腹を立てていた。何でこんな人と一緒にやらないといけないんだろう。辞めさせた方がいい。外れて欲しい。こちらも会社のため、組織のため、みんなのため一生懸命にやってきた訳だ。それを台無しにした行動にすごく不満があった。それでも、経営者であった父は、その人を異動することをしなかった。それにもみんな不満だった。その気持は、仕方がないと思っている。今同じ状況があっても、同じ気持を持つ。

ただ、タニタ社を離れて、今自分で講演会の仕事をしていて、別の気持ちも持つようになった。講演会の仕事のきっかけをくれたのは、友人だったり、「昭吾くん、売ってあげるよ」と言ってくれた社長さんだったり、内容を作るサポートをしてくれた人だったり、何にもならないような時に話を聞いてくれた人だったり・・・。

ビジネスというのは、「合理的」なものだ。サービスがあって、対価がある。でも、本当に立ち上げの頃、「契約」ではなく、「信頼」をベースにした助け合いがあるんだと思うようになった。あの人、好きだから役に立ちたいな。そんな思いで、何かの貢献があって、その思いにいつか応えたいと思う自分がいる。会社を長くやれば、つらい時期にサポートしてくれる社員の方々への感謝の気持ちはとてもとても大きいだろう。そんな風に思った時に、僕は父とあの人との関係性や歴史をどれだけ知っていたんだろうか?と思う。仕事だから、彼に責任はあったと思うし、怒る気持ちを持つのも当然。それでも、僕は父とあの人の事をどれだけ知っていたんだろうと思う。合理的なのは大切だし、常に見積を3社取ってから発注する。そういう姿勢は持たなくてはならない。公平に人事・評価制度はあるべきと思う。でも人間には思いがあって、それが事業を支えてくれるのだとしたら、あの人をサポートできなかった自分は、やっぱりまだまだ若かったと言わざるをえない。

事業継承の話の中で思う。現在の社長から、後継者へのバトンタッチがあるとして、現在の社長も何を引き継げばいいのか、進みながらでないとわからない場合が多い。後継者が動いてみて、あ、それは違う。何かが違う。で、それを言葉にして初めて自分が大切にしてきたものに気づく。後継者もやってみて、なぜ?という疑問が必ず出てくるだろう。そこでコミュニケーションを取る事が必要となる。先代が大切にしてきたものに気づくこと。それがなぜ大切なのか、どんな体験があるのか。きちんと聞くこと。それと同時に、お互いのパターンの違いも共有していくこと。これは時間がかかる。本当に時間がかかると思う。ただ、これを焦ると、後で大きな非効率を生むことになる。バトンタッチを合理的に進めるために、丁寧で根気強く、お互いにコミュニケーションする必要があると信じる。

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