過去の自分と出会いました
久し振りに父・谷田大輔の講演会に同行した。僕がアレンジする父の講演会はこれで最後。
講演前、講演主催会社の社長様が挨拶に来て下さって3人でお話をしていたのだが、ふと社長が「次は昭吾さんがメインでお話をされてはどうですか?」と。咄嗟に出た僕の反応は、「いえいえ。父の講演にはまだまだ及びませんので・・・。」
なるほど。面白いな、と瞬間に思った。タニタという会社の中で、培って、そしてずっと僕が続けてきた反応だ。「タニタという会社のためには、父が一番で、それより目立ってはいけない。」とにかく父を輝かせることばかりを考えてやってきた自分の歴史がそこにあった。別に父にお願いされた訳でもないし、無理にやっていたとも思わない。だけど、ずっとやり続けていた事。そして、タニタという会社のために、父が一番だったとしても、僕自身が輝きながらそこに貢献する手段もあったはずと今は思える。若かりし頃に考え、決めた思いを人はどれだけ大切に握りしめて生きているのだろう。そして、そこを手放せたらきっともっと楽に僕自身の道が見つかるのだと思う。僕がメインで講演して、父の良い部分を引き出して見せていくことも本当は今できる。そんな自分自身に出会った貴重な機会となった。
実は、父の講演会をアレンジしていたのがきっかけで、「昭吾くんもやってみたら?」とある社長さん声をかけて頂いて、それが広がって講演回数が増え、今がある。父の講演会サポートは、ある意味僕の原点。この数年は、自分の講演会が多くなった事もあり、アレンジする業務を渡してしまって、中々同行する機会がなかったりした。更に今年「父のお手伝い」はそろそろやめていこうと思い、依頼を既に受けていたこの講演会でお手伝いの最後にした。またこの日付で、ヘルスケアオンライン社の取締役から父の退任処理も完了。こんなありふれた普通の日に、人間の新たな旅立ちは隠れているのだと、なんだかしみじみと思った。
講演後父と昼食を食べながら話した。講演会アレンジさせてもらったことや、ヘルスケアオンライン社の取締役になってくれていたことに感謝を伝えた。大したことはできなかったが、お昼をご馳走させてもらい、そして大手町の駅で別れた。感謝の気持ちを持ちながら、父の背中が見えなくなるまで見送ってみた。さて、今までの自分の生きてきた道を大切に見つめつつ、また新たな一歩を進もうと思う。ありがとうございました!